坊っちゃん(夏目漱石著)

言わずと知れた日本文学の名作。

明治時代に発表された小説であるものの、ユーモラスでテンポが良いため、サクサクと読める大衆小説です。

あらすじとしては、明治時代、無鉄砲でまっすぐな気性の江戸っ子(坊っちゃん)が新任の数学教師として赴任した四国の中学校で、己の心に正直に生きていく物語。

 

癖のある同僚教師、生徒に囲まれ、様々な事件や人間関係に巻き込まれるものの、損得に捉われず、不器用なまでに一本筋を通して奮闘する坊っちゃんに、心がすかっとします。

(特に日頃から人間関係に悩んでいる方、忖度し過ぎて疲れている方は、自分には出来ない坊っちゃんの振る舞いに、より心が晴れるのではないでしょうか)

 

■本書の好きな部分①

一癖も二癖もある人物が多く、同僚教師のあだ名も絶妙です。

(まさに、名は体を表したネーミングとなってます)

「赤シャツ」「山嵐」「うらなり君」「野だ(野だいこ)」「マドンナ」etc

特に「赤シャツ」の胡散臭さ感と、野だいこが途中から「野だ」と略されてるところ(小物感)は秀逸です。

これらキャラクターの濃い面々に坊ちゃんが翻弄される心情は、現代社会にも通じる描写と感じました。

 

■本書の好きな部分②

表現が絶妙にユーモアに富んでおり、特に会話部分登場人物の会話を読んでいるだけでくすっときてしまう部分が多いです。(先述のあだ名も含め)

特に好きな会話は下記です。

(引用)

「あの赤シャツがですか。ひどい奴だ。どうもあのシャツはただのシャツじゃないと思ってた。それから?」

 

■キーワード

理念、仁義、生き方、人間関係、明治時代、庶民の文化、教師、都会と田舎、四国、祖母の愛、無鉄砲、ユーモア

 

■おすすめ度(最高点は★5)

★★★★★

コミカルで読みやすい万人向けの大衆小説。

「日本語って面白い」と思わせてくれる小説です。