デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(コミック)(浅野いにお著)
タイトルがやたら派手な本書は、現代の東京都を舞台とした、女子高生2人が主人公のSFコミック。
ボリュームとしては、全100話と長すぎもせず短すぎもせずの物語です。
「世界を守るか、それとも自分にとっての「絶対」を守るか」
やや大仰ですが、この表現に響くものがある人にとっては、読んで損は無い漫画だと思います。
■あらすじ
東京都の上空に突如現れた巨大な円盤。
そこから出てくる侵略者と自衛隊、アメリカ軍の戦闘が行われている、そんな状況下で、日常を友人達と和気藹々と過ごす女子高生、中川凰蘭と小山門出の物語です。
■物語の構成・特徴
著者特有の、ほのぼのと不穏が入り混じった独特の進行と、ややブラックジョークがきいた独特のセリフ回しが特徴的です。
序盤は、やや物語の方向性がよく分からないものの、途中から物語の進行が一気に加速するので、ぜひ中盤までは読み進めてみて欲しいです。
内容はやや重めで不穏な空気が漂っているものの、著者の代表作「おやすみプンプン」よりも憂鬱さ・陰惨さは潜めており、キャラクターもポップであることから、比較的読みやすいのではないかと思います。
■テーマ
テーマとしては3.11等諸々の要素が出てくるものの、中盤以降の要所で一番響いたのは「友情」「救済」であり、2人の純心さに心を動かされました。
■マイベストシーン
個人的なベストシーンとしては、個人的には85話のパーキングエリアでの凰蘭と門出のやり取りと思っています。
2人の幸せそうな笑顔が尊く、それまでの道程を思うと救われたような気持になり、涙腺が緩みました。
■所感
結末について、ここでの言及は避けますが、賛否両論ありそうな終わり方かと思います。(個人的には嫌いじゃない終わり方です)
最後に、一見訳の分からない長いタイトルにも意味があるので、中盤以降「なるほど」と思わされます。
(物語の伏線も回収していないようでいて、ある程度回収していって結末には向かっています)
■おすすめ度(最高点は★5)
★★★☆☆
個人的にはとても面白かったです。上記で書いているように、やや独特な雰囲気であることから「とても面白い」という人と「微妙」という人に分かれそうな気がします。
あまり巻数も多くないため、感想を読んでみて「楽しめそうかも」と思う方はもちろん、「自分はどっちだろう?」と思う方もトライしてみてはいかがでしょうか。