2022-01-01から1年間の記事一覧

傲慢と善良(辻村深月 著)

大きな括りでは恋愛小説(もしくは婚活小説)のジャンルに位置づけられる長編で、人間の内面描写を醜い部分も含めて細かく細かく描写した本書。 恋愛や婚活に関するドラマは漫画、テレビ、映画等の様々なコンテンツで楽しめますが、ここまで心理描写を細かく…

故郷(魯迅著 光文社文庫)

先日、魯迅の短編集(故郷/阿Q正伝)の中で、特に琴線に触れた阿Q正伝を紹介させて頂きました。 ★阿Q正伝の紹介 https://blog.hatena.ne.jp/maymm/maymm.hatenablog.com/edit?entry=4207112889919661076 ただ、その中の「故郷」については、国語の教科書に…

エレンディラ(ガブリエル.ガルシア=マルケス著)

南米コロンビアを舞台とした短編集で、「大人のための残酷な童話」として書かれた本書。 「幻想的で奇妙なモチーフ」「匂ってくるよう南米風土の描写」がとても強烈で、インパクトのある一冊でした。 ■幻想的で奇妙なモチーフ どの短編にも、超現実的な奇妙…

故郷/阿Q正伝(魯迅著 光文社文庫)

中国近代文学の祖である魯迅の短編集。 13の短編から成る本著ですが、タイトルにもなっている「阿Q正伝」の読後感が秀逸であったため、そちらを紹介したいと思います。 (タイトルの「故郷」の方は、国語の教科書に掲載されており有名なため、読まれた方も多…

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(コミック)(浅野いにお著)

タイトルがやたら派手な本書は、現代の東京都を舞台とした、女子高生2人が主人公のSFコミック。 ボリュームとしては、全100話と長すぎもせず短すぎもせずの物語です。 「世界を守るか、それとも自分にとっての「絶対」を守るか」 やや大仰ですが、この表現に…

冷血(トルーマン・カポーティ著)

読み終わった後、決して明るい気持ちとはならなかったものの、重厚なステーキをたらふく食べた後のような満腹及び満足した気分となった本書。著者の執念さえ感じられる一作。 客観性を捨てて取材対象とあえて積極的にかかわる「ニュージャーナリズム」の源流…

坊っちゃん(夏目漱石著)

言わずと知れた日本文学の名作。 明治時代に発表された小説であるものの、ユーモラスでテンポが良いため、サクサクと読める大衆小説です。 あらすじとしては、明治時代、無鉄砲でまっすぐな気性の江戸っ子(坊っちゃん)が新任の数学教師として赴任した四国…